益《りえき》を考へないやうにと心掛《こゝろが》けませう。
私はこれから一生懸命《いつしやうけんめい》勉強《べんきやう》をしようと思つてゐます。私がこんど六十の手習《てなら》ひのやうな語學《ごがく》を初め出しましたのは、その第《だい》一|歩《ぽ》のつもりなんです。私達は決して今のまゝで死《し》んではなりません。その貧《まづ》しさには決して堪《た》へられません。私達はもう少し人間《にんげん》らしく生きなければなりません。今にもうすぐ私達の一生にも冬《ふゆ》がまゐります。私達はこの若《わか》さの秋に於て、出來るだけの働きをしなければなりません。
今夜《こんや》はどうも思ひがけない手紙を書いてしまひました。どうぞ御主人樣《ごしゆじんさま》によろしくお傳《つた》へ下《くだ》さい。そして、またお近いうちに是非《ぜひ》お遊びにいらしつて下さいまし。[#底本では「。」が欠落]ではさよなら!
底本:「新潮」新潮社
1914(大正3)年12月1日発行
※底本は総ルビですが、ルビは初出のみに省きました。
入力:林 幸雄
校正:小林 徹
2003年1月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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