ら、寝巻も着替へないで、そのまゝ床の中に潜り込んでしまふ。
 私の心は、人気のない大きな伽藍のやうに空虚《うつろ》になつて、どんなかすかな物音にも、慄へるやうな反響を全身に伝へる――私は私の耳が、丁度猫の耳のそれのやうに、ひく/\と動くやうにさへ思ふ。



底本:「水野仙子 四篇」エディトリアルデザイン研究所
   2000(平成12)年11月30日発行
初出:「新潮」十九巻六号
   1913(大正2)年12月発行
※底本の凡例に「ルビは新仮名遣いとした」と書かれていましたので、ルビの拗促音は小書きしました。
※底本では題名のみ旧字体「殼」を用いているため、題名を「脱殼」としました。
入力:林 幸雄
校正:多羅尾伴内
2004年4月29日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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