すゝめはしないけれど、もし死者に對する感情とか義理とかいふものがそれを阻むのだつたら、それは無益な事だといひたく思ひます。もしもあなたが死者から嘗て愛されてゐた事を信ずるならば、安心して幸福へと導く手に腕をまかせてよいと思ひます。死んでゆく者は、たゞたゞわが愛する者のより多く幸福である事より外は思ひのこさないのですから……
書けば書くほど名殘が惜しくなつて來ます、胸がいつぱいになつて來ます……それでは左樣なら!……
[#地から1字上げ]一九一六年一一月 澄子
底本:「叢書『青踏』の女たち 第10巻『水野仙子集』」不二出版
1986(昭和61)年4月25日復刻版第1刷発行
底本の親本:「水野仙子集」叢文閣
1920(大正9)年5月31日発行
入力:小林徹
校正:田尻幹二
1999年4月29日公開
2006年4月20日修正
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