の面目不過之《めんもくこれにすぎず》、併せて奉願上候。
[#下げて地付きで]願人 旗本小普請頭 大和田 十郎次
[#下げて地付きで]右証人 旗本 早乙女主水之介
大目付御係御中
[#ここで字下げ終わり]
「どうじゃ。十郎次、よくみい! そちを坊主にさせた仔細これで相解ろう。早う名の下に書判《かきはん》せい」
「何じゃ。こ、これは何じゃ! 勝手にこのようなものを書いて、何とするのじゃ!」
「勝手に書いたとは何を申すぞ、この一|埓《らつ》、表立って江戸大公儀に聞えなば、家名断絶、秩禄没収《ちつろくぼっしゅう》は火を睹《み》るより明らかじゃ。せめては三河ながらの由緒ある家名だけはと存じて、主水之介、わざわざ手数をかけその方を坊主にしてやったのじゃ。有難く心得て書判せい」
ぐいとその手をねじむけて、介添《かいぞ》えながら十郎次に書判させると、折から晴れ晴れとした顔で再び姿を見せた老神主に、大目付上申のその奉書をさしながら、莞爾《かんじ》として言った事でした。
「御老体いかがじゃ。こうして十郎次を隠居放逐しておいて、家名食禄を舎弟に譲り取らしておかば、この先当知行所の女共は元より、領
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