相談せい!」
 静かに威嚇しつつ、深編笠をバラリとはねのけて、ずいと農民達の面前に突きつけたのはあれです。あの眉間傷です。
「………?![#「?!」は横1文字、1−8−77]」
「………?![#「?!」は横1文字、1−8−77]」
「のう、どうじゃ。ずうんと骨身までが涼しくなるようなよい疵であろうがな。近寄ればチュウチュウ鼠啼き致して飛んで参るぞ」
「………?![#「?!」は横1文字、1−8−77]」
「………?![#「?!」は横1文字、1−8−77]」
 ぎょッとなって身を引きながら、いずれも農民達はやや暫し片唾《かたず》を呑んで遠くからその傷痕を見守っていたが、まさにこれこそは数の力でした。否、よくよく誰もが抑え切れぬ憤《いきどお》りを発していたと見えて、揉み合っている人垣のうしろから、爆発するように罵り叫んだ声が挙りました。
「やッつけろ。やッつけろ。構わねえからやッつけろ。どこのどやつだか知らねえが、邪魔ひろぐ奴アみなおいらの讐《かたき》だ。のめせ! のめせ! 構わねえから叩きのめせ!」
「違げえねえ。一ぺん死にゃ二度と死なねえや! いってえおいらお侍《さむれい》という奴が気に
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