旗本退屈男 第五話
三河に現れた退屈男
佐々木味津三

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)浪華《なにわ》

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)祖先|発祥《はっしょう》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、底本のページと行数)
(例)※[#「※」は「祿−示」、第3水準1−84−27、144−上−9]
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       一

 ――その第五話です。
 まことにどうも退屈男は、言いようもなく変な男に違いない。折角京までやって来たことであるから、長崎、薩摩とまでは飛ばなくとも、せめて浪華《なにわ》あたりにその姿を現すだろうと思われたのに、いとも好もしくいとも冴《さ》えやかなわが早乙女主水之介が、この上もなく退屈げなその姿を再び忽焉《こつえん》として現したところは、東海道七ツの関のその三ツ目の岡崎女郎衆で名の高いあの三河路でした。――三河は、人も知る十八松平、葵宗家《あおいそうけ》の発祥地《はっしょうち》、御領主様は智慧者でござる。仏高力《ほとけこうりき》、鬼作左《おに
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