に起こるなぞは、いわずと知れたその詮議です。
 第三には、変死人の素姓。
 それと顔いろを読みとって、ここぞとばかりしゃきり出たのは伝六でした。
「あのえ。だんな。少々ものをお尋ねいたしますがね」
「なんだ。うるさい」
「いいえ、うるさかねえ。さすがにえらいもんさ。ちょいとにらんだかと思うと、こいつア雪だとばかり、たちまち眼をつけるんだからね。あっしも雪で死んだに不足はねえが、それにしたって、なにも人が殺したとはかぎらねえんだ。自分で雪にはまったって、けっこう死ねるんだからね。気に入らねえのはそれですよ。えらそうなことをいって、もしもてめえがすき好んで凍え死んだのだったら、どうなさるんですかえ」
「しようのねえやつだな。そんなことがわからなくてどうするんだ。ひと目見りゃ、ちゃんとわかるじゃねえかよ。自分ではまって死んだものが、こんな道ばたにころがっているかい。加賀さまの雪室は、たしか七つおありのはずだ。ゆうべ運び入れたどさくさまぎれに、そのどれかへこかしこんでおいて、夜中か明けがたか、凍え死んだのを見すましてから、そしらぬ顔でここへひっころがしておいたに決まっているんだ。そんなことより
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