から、おじさんたちに助けてもらおうと思って、いっしょうけんめいにここへ飛んできたんだよ」
「どうしてまた、おじさんたちがここにいるのを知ってたんだ」
「だって、きょうは半日じゃないか。半日には右門のおじさんがお馬のおけいこに来るはずだから、来れば伝六のおじさんもしかられしかられいっしょに来ているだろうと思ったんだ。はじめはおじさんがだれだかわからなかったけれども、馬がへただったから、へたならきっと伝六のおじさんだろうと気がついて、走るのを止めてやったんだよ」
「あけすけと、よぶんなことをいうねえ。きょうはへただが、じょうずな日だってあるんだ。だんな、だんな。だんなはどこですかい! 一大事ですよ。今度は掛け値のねえ一大事なんだ。だんなはおらんですかい?」
「やかましいや。ここにひとりおるじゃないか。よく目をあけてみろい」
 いつのまにかうしろへやって来て、ちゃんともう何もかも聞いたと見えるのです。じろりと少年の姿を一見したかと見るまに、たちまち右門流が飛び出しました。
「おまえ、うちは米屋だな」
「あ、そうだよ。そこの細川|長門守《ながとのかみ》さまのお屋敷向こうの増屋《ますや》っていう
前へ 次へ
全44ページ中7ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
佐々木 味津三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング