から小僧になっていたのでござります。ちょうど三年まえでござりました。和尚《おしょう》さまはずいぶんかわいがってくださいましたけれど、朝のお勤め、夜のお勤め。寒中なぞはつらいことがござりましたゆえ、どこかほかにいい奉公口でも、と思っておりましたら、あの米屋の鬼女がうまいことばかり並べて、わたしたちを連れ出したんでござります。そのときはかどわかされてこんな角兵衛に売られるとは夢にも思いませなんだゆえ、喜んで参りましたら、雪国へ売られて、お小僧よりももっとつらいめに会わされたのでござります。それゆえ、毎年毎年江戸へ来るたび、もしあの鬼女が見つかったら思い知らせてやろうと、ふたりで相談し合っていたのでござります。こちらの貞坊も十二、あたしも十二、子どもとてもふたり力を合わせたなら恨みが晴らされまいこともあるまいと思うておりましたら――」
「きのう柳原で見つかったのか!」
「そうでござります。親方といっしょに流しにいったら、夢にも忘れぬあの鬼女が見つかりましたゆえ、ゆうべ日が暮れるといっしょに、こっそりふたりしてここを抜け出し、あの米屋へいってみたら、鬼女めもあたしたちに見つけられたことがわかっ
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