さ》のご光、法衣《ころも》のてまえに対しても申しわけがあるめえ。いいや、仏心をお持ちなら、もっとすなおにざんげができるはずだよ。理にはずれたことアいわねえつもりだ。どうでえ、まだじらすのかい」
「なるほど、いや、恐れ入りました。このうえ隠しだていたしましたら、罪のうえにも罪を重ねる道理、仏罰のほどもそら恐ろしゅうござりますゆえ、白状いたしまするでござります……」
人を見て法を説いた最後の一語が、ついに鋭く蓮信の心をえぐったとみえて、さっと面を青ざめながらうなだれていた顔をさらにうなだれると、細々とした声でようやくすべてを物語りました。
「何もかもまったくおにらみどおり、あの四人を五十両で抱き込み、いうももったいないあんな所業をさせたのは、みんなこの蓮信《れんしん》でござります。それもこれも、もとはといえば、今おっしゃったおことばどおり、末寺の栄えをそねんでのこと、もとよりもうお調べがおつきでござりましょうが、あちらは新寺《にいでら》でありながら、住職のあの弟弟子に人徳がござりますのか、日に日に寺運が栄えてまいりましたのにひきかえ、当寺は愚僧の代となりましてから、このとおりのさびれかた
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