つなたいせつなお檀家《だんか》とやらで、お参詣《さんけい》のたびごとにお師さまもたいそうごていねいにおもてなしでござります」
「ほほうのう。そのお師さまはおいくつくらいじゃ。さだめし、もうよほどのお年でありましょうのう」
「いえ。ことしようやく二十三でござります」
「なに! ただの二十三でござりますとのう。そんなお年で一寺のお住職になられるとは、ちと若すぎるようじゃが、よほどおできのかたでござりまするか」
「あい。お本寺の一真寺のほうにおいでのころから評判のおかたでござりましたゆえ、なくなられました大|和尚《おしょう》さまもたいそうお力を入れて、わざわざ今の興照寺をお建立《こんりゅう》のうえ、ご住職におすえ申しましたとやらいうお話でござります」
「なるほどのう。お姿は?」
「は?……」
「そのお師さまのお様子じゃ。ご美男でござりまするか」
「ええもう、それはそれは、お気高くて、やさしゅうて、絵からぬけ出たように美しい若上人《わかしょうにん》さまでござります」
さらに光った。――そこにもなぞを解くかぎが一つあるにちがいない。否! 絵から抜け出たようなといったその美男のところに、なぞの山
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