右門捕物帖
お蘭しごきの秘密
佐々木味津三
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)不忍《しのばず》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)両国|河岸《がし》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「ござんす!」」は底本では「ござんす!「」]
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――その第二十八番てがらです。
「一ツ、三月十二日。チクショウメ、ふざけたまねをしやがる。女ノ女郎めが、不忍《しのばず》弁天サマ裏ニテ、お参リノ途中、腰ニ結ンデおったる、シゴキを盗み取られたとなり。くやしいが、ベッピンなり。昼間のことなれば、やいの、やいのと、呼ンダレド、呼ンダレド、だれも助けに来ねえとなり。いと怪し」
「一ツ、三月十三日。雨降ッテ、だんなのキゲンワロシ。
シゴキどろぼう、また出りゃがった。両国|河岸《がし》にて、見せ物小屋の絵看板を、見とれておったれば、スルスルと腰から盗みとられたとなり。このほう、三割方、キリョウおちたるうえに、男が好きそうな下町っ子なり。雨なれば、呼ベド叫ベド人は来ズ、悲しやくせ者逃がしたり。と女の子が申し候《そうろ
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