ご本を習っておいて、だれにもいうなといっておいてから出かけましてござります」
「そんなことだろう。見りゃ押し入れに夜着もふとんもねえようだが、出かけるまえにそれを売っ払ってお金をこしらえてから行ったんじゃねえのかい」
「あい、そのとおりでござります。お宝ができたら、それでお米を買ってくださればいいと思いましたのに、しっかり帯の中にはさんで出ていかんした。それゆえ……それゆえ……」
「泣かいでもいい! 泣かいでもいい! もうおっかあの行く先ゃわかったから、心配せんでもいいよ。――さ! あにい! 何をまごまごしているんだ。駕籠《かご》先ゃ本所の一つ目だよ」
「フェ……?」
「なにをぱちくりやってるんだよ。こんなたわいもねえなぞなぞがわからなくてどうするんだ。本所の下に目が一つありゃ、本所一つ目じゃねえか。その下に輪が三つありゃ三つ輪だよ。本所一つ目に三つ輪のお絹ってえいう女ばくちのいんちき師があるのは、おめえだっても知っているはずじゃねえか。ふとんを売っ払って金をつくって、このいんちきばくちの勝ち抜き秘伝書をとっくり覚え込んでから、千葉のおしろうとだんなをむくどりにしようと出かけていったに
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