だれがこんなところへ盗み出して捨てたんでござんしょう! そちらに寝かしてある坊やは、わたしたちのだいじなだいじなひと粒種でござんすゆえ、早く返しておくんなさいまし! 早くこちらへお返しくださいまし!」
会釈もせずに駆け上がって連れ出そうとしたのを、
「騒々しい、なにごとじゃ」
静かに名人が押えながら、ぎろり目を光らして問いなじりました。
「盗み出したとは、いったいどうしたわけじゃ」
「どうもこうもござんせぬ。ゆうべ本所の子育て観音さまに虫封じのご祈祷《きとう》がござんしたゆえ、こちらにおいでの糸屋のご新造さんとお参りに行きましてついおそうなり、疲れてそのままぐっすり寝込みましたら、いつとられましたものか、朝になってみますると、ふたりとも坊やたちを盗まれていたのでござります。それゆえぎょうてんいたしまして、大騒ぎをしておりましたところへ、いましがた日本橋に似たような捨て子があると知らしてくれた人がありましたゆえ、もしやと思って駆けつけたのでござんす。ほんに憎らしいってたらありゃしない。だれが盗み出したやら――、ま! その子じゃ! その子じゃ! 下手人はそのきょうだいに相違ござんせぬ
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