さあ、並べましたからね。お気のすむようになさいませよ。どうせ、あっしはいろいろと文句をいう変な野郎なんだからね。ええ、そうですとも」
「…………」
「ええ、ええ、どうせそうですよ。どうせあっしなんざあ人前でがみがみとしかられるようにできた野郎なんだからね。もっとしかりゃいいんだ。出世まえの男を人前でしかるのがりっぱなことなら、もっとしかりゃいいんですよ。――おやッ。はあてね。少し変だな。こうして並べてみると、三人の様子がおかしいじゃござんせんかい。いま捨てた子も、左の赤ん坊も、男の子はみんなまるまる太っていかにも金満家のぼっちゃまらしいが、それにひきかえまんなかの女の子ばかりは、やけに貧乏ったらしいじゃござんせんか。ね! ちょいと! どうしたんだろうね」
 すねながら見比べているうちに、血のめぐりの大まかなあいきょう者もそのことがいぶかしく思われたとみえて、必死と首をひねりだしました。まことに、これは不審といわざるをえない。まんなかのやせ細った貧しげな赤ん坊から推断すると、世のつねの捨て子のごとく貧ゆえに育てかねて捨てたらしく思われるが、それにしては右と左のまるまる肥え太ったふたりの子
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