おやじですらもが、風流がましく月の宿なぞと負け惜しみをいいながら、ついふらふらと朝寝するくらいですから、人より少々できもよろしく、品もよろしいわが捕物《とりもの》名人が、朝寝もまた胆の修業、風流の一つとばかり、だれに遠慮もいらずしきりと寝ぼうをしたとてあたりまえな話です。
 だから、その朝もいい心持ちで総郡内のふっくらしたのにくるまりながら、ひとり寝させておくには少し気のもめる臥床《ふしど》の中で、うつらうつらと快味万両の風流に浸っていると、
「ちぇッ、またこれだ。ほんとに世話がやけるっちゃありゃしねえや。ちょっと目を放すと、もうこれだからな。今ごろまでも寝ていて、なんですかよ。なんですかよ、ね、ちょっと、聞こえねえんですかい。ね、ちょっとてたら!――」
 遠鳴りさせながらおかまいなくやって来て、二代め彦左のごとくにたちまちうるさく始めたのは、あのやかましい男でした。
「起きりゃいいんだ、起きりゃいいんだ。ね、ちょっと!――やりきれねえな、毎朝毎朝これなんだからな。見せる相手もねえのに、ひとり者がおつに気どって寝ていたってもしようがねえじゃござんせんか。起きりゃいいんですよ、起きりゃい
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