しくださりませ。お願いでござります。お願いでござります。はようお返しなされてくださりませ」
「なに※[#疑問符感嘆符、1−8−77] そなたの姉とな※[#疑問符感嘆符、1−8−77]」
まったくの不意打ちでしたから、いたく右門もめんくらいましたが、しかし少年はおしかぶせるようにいいつづけました。
「おとぼけなさりますな! 先ほどだんなさまお自身がお引っ立てなさったはずではござりませぬか」
「まてまて。やぶからぼうに、妙なことばかり申すが、いったいわしがそなたの姉とやらをどうしたというのじゃ」
「どうしたもこうしたも、ちゃんとだんなさまご自身がよくご存じのはずではござりませぬか」
「ますます奇態なことを申しおるな。まさか、人違いしているのではあるまいな」
「ござりませぬ! ござりませぬ! たしかに、むっつり右門のだんなさまと承知して、すぐさまかように押しかけてまいったのでござります。わたくしの姉にかぎってそんなだいそれたことをいたすわけはござりませぬのに、親方を殺した下手人じゃとおっしゃいまして、つい今のさっきお引っ立てなさいましたとききましたゆえ、返していただきに上がったのでござりま
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