ばたの野郎になぐられました、非人も途中で横取りされました、といってすごすごけえってきたんじゃ、あっしがだんなに二度と合わす顔がねえじゃござんせんか……だから、あっしゃ、だからあっしゃ……」
「よし、わかった、わかった。うすみっともねえ、大の男がおいおいと手放しでなんでえ! 泣くな! 泣くな! 泣くなったら泣くなよ!」
「だって、あっしゃ、こんなくやしいこたあねえんです。平生はだんなをずいぶんとそまつにもした口のきき方をいたしますが、あっしがだんなを思っている心持ちは、どこのどやつが来たって負けやしねえんです。だから、だから、命を的にしても、あっしゃ、あばたの野郎と刺し違えます! 刺し違えて死んでやります! ええ! やりますとも! やらいでいられますか! それも、よその国の者でしたら、ときにとってはてがらの横取りもいいんですが、同じおひざもとで、同じお番所のおまんまいただいている仲間うちじゃござんせんか! それになんぞや、肝ったまの小せえまねしやがって、このうえそんな野郎を生かしておかれますか! ええ! やりますよ 殺してみせますよ! きっと刺し違えてみせますよ! だから……だから……き
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