つを聞きゃ、聞いただけでもおもわずぎくっとしなさるでがしょう。なにしろ、ももから下の両足ばかりをぶらぶらと両手にさげて、日に干していたんですからね、あっしがちっとばかり肝を冷やして、このとおり、今もおぞ毛をふるいながら、だんなのところへ、いちもくさんに知恵借りに来たな、まんざら筋にはずれたことでもねえじゃごわせんか」
「そうよな。で、なにかい、その日にかわかしていたとかいう子どもの足にゃ、ほかに何か不審と思える節は気がつかなかったのかい」
「ところが、それが大ありなんでがすよ。ね、血をね、血をぬぐいとって、もう長いこと日にあててでもいたものとみえましてね、いやにのっぺりとなまっちろいうえに、なんだか少しかさかさとしているように思えたものでしたから、このあんばいだとこいつ何かのまじないに子どもをかっさらっては足を干していやがるなと思ったんで、なまじなま兵法《びょうほう》に手出しをやって、せっかくのほしを逃がしでもしてはと、だんなの草香流を大急ぎで拝借に駆けつけてきたんでございますよ」
すると、右門が、聞き終わるやいなやのように、伝六のからだをはじき飛ばすがごとく突きのけながら、すっくと
前へ
次へ
全48ページ中11ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
佐々木 味津三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング