れでなにかい、知恵を借りたいっていうな、そのほしが実は目きき違いだったとでもいうのかい」
「いいえ、どうつかまつりまして。今もあっしゃ、むろんのことに、もうそいつめが人さらいのほしだとにらんでいますが、だからね、いろいろと番頭や主人にも当たって、そいつの人相書きから探りを入れてみるてえと、やっぱりしばや者で、久しいまえから家へも出入りの源公というやつなんだそうでがすよ。下谷《したや》の仲町に住んでいて、おくやま(浅草)の掛け小屋しばやとかの道具方をやっているというねた[#「ねた」に傍点]が上がりましたからね。こいつてっきり欲に迷いやがって、子せがれに役者の下地のあるのをさいわい、そこの小しばやへ子役にでもたたき売りやがったなと思いやしたから、さっそくしょっぴきに駆けつけていってみるてえと、少しばかり不審じゃごわせんか。野郎が裏口の日あたりへ出やがって、にたにたと青白い顔にうすっ気味のわりい笑いをうかべながら、いま切りたてのほやほやといったような子どもの足を二本、日にかわかしているんでがすよ」
「なに? 子どもの足※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」
「そうでがしょう。だんなだって、そい
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