で、鷹揚《おうよう》にいったものです。
「ご苦労でござる。ご異状はござりませぬかな」
「なにッ、ご異状? なれなれしゅう申しおるが、いずこの何やつじゃ!」
いかにも右門のことばつきがつら憎いほどおちついていたものでしたから、おっ取り刀の面々のおこって詰めよったのはあたりまえなことでしたが、しかし右門は綽然《しゃくぜん》たるものでした。
「不審はごもっとも、てまえはこういうものでござる」
静かにいって、そして先ほど城中を退きがけにちょうだいいたしました例の手札を――この者の命令は予の命令と思うべし、松平伊豆守と、釜《かま》のような書き判のある例の一札を、ずいと龕燈《がんどう》の下に突き出して見せましたものでしたから、いやはや、どうもおっ取り刀の面々のめんくらったこと。うへッとばかりに声をそろえながら、塩だらのように堅くなりながら、こちこちとそこへ棒立ちになってしまいました。それをきのどくそうにながめながら、右門は天蓋の中から鷹揚《おうよう》にいいました。
「例のやつをご警戒中と思われまするが、このあたりはどなたのお屋敷つづきでござる」
「はっ、このうち四、五町がほどは、当家中一流のつ
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