のでしたから、右門はただちにお番所の獄門記録について、事件前後に死罪に処せられたさらし首で、右の三名に相当するものの有無を調査いたしました。
と――ある、ある! 俗称|白縫《しらぬい》のお芳《よし》、窃盗きんちゃっ切りの罪重なるをもって四月三日死罪に処せられしうえ梟首獄門《きょうしゅごくもん》。座頭《ざとう》松の市、朋輩《ほうばい》をあやめしかどにより四月四日|斬罪《ざんざい》のうえ梟首獄門。尾州無宿の久右衛門《きゅうえもん》、破牢の罪により四月五日江戸引きまわしのうえ梟首獄門。しかも、三個ともにさらし首とされたところは小塚ッ原であることまでも判明しましたのでしたから、もうしめたものでした。さみだれをおかしながら、時を移さずに小塚ッ原へ一路ご番所を駆けだそうとすると、いいことのあるときは、いいことの重なるものですが、ばったり出会ったのは伝六で――顔を合わせるやいなや、のっけにいいました。
「おっ、だんな! いいところで会いやした。もう、しめこのうさぎでがすよ」
なんか新しい材料をつかんできたらしいなということがすぐにわかりましたから、右門はたたみかけてききました。
「きさまも何かひ
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