た。
四 入塾式の日
式は予定どおり、十時きっかりにはじまった。
来賓席《らいひんせき》の一番上席には、平木中佐が着席することになった。中佐は最初、その席を荒田老にゆずろうとした。しかし荒田老は、
「今日は、あんたが主賓《しゅひん》じゃ。」
と、叱《しか》るように言って、すぐそのうしろの席にどっしりと腰《こし》をおろし、それからは中佐が何と言おうと、木像のようにだまりこんで、身じろぎもしなかった。中佐はかなり面くらったらしく、すこし顔をあからめ、何度も荒田老に小腰《こごし》をかがめたあと、いかにもやむを得ないといった顔をして席についたが、それからも、しばらくは腰が落ちつかないふうだった。
しかし、式がいよいよはじまるころには、もう少しもてれた様子がなく、塾生《じゅくせい》たちをねめまわすその態度は、むしろ傲然《ごうぜん》としていた。
来賓席の反対のがわには、田沼《たぬま》理事長、朝倉塾長、朝倉夫人の三人が席をならべていた。次郎はそのうしろに位置して、式の進行係をつとめていたが、かれの視線は、ともすると平木中佐の横顔にひきつけられがちだった。かれの眼《め》にうつった
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