おきますが、この塾堂には、秘密の室とか、出入り制限の室とかいうものは一室もありませんし、また了解《りょうかい》のもとにここの門をはいって来た人なら、どんな人でも家族同様の気持ちでお迎えすることになっています。ですから、皆さんもどうかそのおつもりで、今日はお客でなく、もとからの家族だというお気持ちでおすごしくださるようにお願いしたいと思います。」
 次郎がそう言って引きさがると、大河無門がすぐ手をあげて、何か友愛塾の塾生たちに合い図をした。すると、塾生たちは、五人、七人とかたまって、興国塾生たちのほうに近づいて行き、「関東地方の諸君はこちらに」とか、「東北地方の方は私どもがご案内します」とか、いったぐあいに、口々に叫《さけ》びだした。
 次郎は、もうそのときには、塾生たちのほうよりは、荒田老や小関氏のほうに注意をひかれていた。黒眼鏡をかけた荒田老の表情はほとんどわからなかった。ただ気のせいか、そのでっぷりとふとったきずだらけの顔が、いつもよりいくぶん赤味をおびているように見えただけだった。
 しかし、小関氏の表情はたしかに普通《ふつう》ではなかった。骨にぴったりとくっついたような、青白い
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