情《れんじょう》の燈火《とうか》のまわりをぐるぐると回転した。それは際限のない回転だった。
 いっそうかれをみじめにしたのは、道江の手紙が、かれに返事をせき立てていることだった。今度という今度は、これまでのように、まるで返事を出さないでおくというわけにはいかない。もし自分がそういう態度に出たら、道江は自分を人間だとは思わないだろう。それは次郎としてたえがたいことだった。だが、真実を書いた場合の結果を思うと、それは身ぶるいするように恐《おそ》ろしいことだった。それは自分の自尊心を台なしにして、道江をいっそう深い苦悩に追いこむだけのことではないか。――残された道はうその返事を書くことだが、では一たいどんなうそを書けばいいのか。第一、そんなことに心を苦しめて、それにいったい何の意味があるというのだ。
 かれは迷いに迷った。そしてこの迷いにも際限がなかった。
 とうとうその日は決心がつかないままに暮《く》れた。かれはうつろな心で塾の行事を終わり、解決を翌日にのばして、冷たい床《とこ》にはいった。眠《ねむ》られない一夜だった。混迷《こんめい》はやはり翌日もつづいた。また夜が来た。こうして二日とた
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