う落ちついて雑談などしておれなくなった。かれは、しかし、しいて平気をよそおいながら、無造作《むぞうさ》に手紙をかくしに突《つ》っこんだ。それから、立ちあがって背のびをしたり、両腕《りょううで》をふりまわしたりしたあと、一人でぶらぶらと赤松《あかまつ》の林のほうに歩きだした。そして、林をすこしはいって、人目のとどかないところまで来ると、いそいで手紙の封をきり、むさぼるように読み出した。
「……直接会って話すほうが誤解がなくていいと思ったが、しかし、話しているうちに、おたがいの感情がもつれあって、かえって誤解を招くような結果になりはしないか、というふうにも考えられたので、やはり手紙を書くことにした。ぼくは手紙を書くことによって、だれにもさまたげられないで、ぼくの考えていることを、その正否は別として、いちおうピンからキリまで君につたえることができると思うのだ。もっともこの手紙を書くことになった動機は、現在の君の心境についての、ぼくの一方的な判断――むしろ想像といったほうが適当かもしれないが――にあるのだから、その判断がてんで見当ちがいだとすれば、この手紙は全然、無意味だということになるだろう
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