にしました。」
「うらまれやしませんか。」
「ふ、ふ、ふ。」
 大河はとぼけたような顔をして、笑った。
「どの方面の希望者が多かったんです。」
「たいていは二重橋を見て、それから銀座に行きたがっていたようでした。」
「相変わらずですね。」
「いつもそうなんですか。」
「ええ、最初の日曜は、きまってそんなふうです。」
「二重橋のつぎが、銀座というのは、しかし、おもしろいじゃありませんか。」
「ええ、ちょっと皮肉ですね。しかし、今の日本の青年としては、おそらくそれが正直なところでしょう。」
 二人はいつの間にか、火鉢《ひばち》を中にしてすわりこんでいた。大河はまじめな顔をして、
「それは、しかし、青年ばかりではないでしょう。本職の軍人だって、正直なところは、たいていそんなものですよ。銀座みたいなところの魅力《みりょく》は、超時代的《ちょうじだいてき》というか、本能的というか、とにかく人間の本質にこびりついたものでしょうから、非常時局のかけ声ぐらいでは、どうにもならないでしょう。」
「そんなことを考えると、時代の力なんていっても、たいしたものではありませんね。」
「ええ、本質的なものに対して
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