に言葉をかわさないままだったのである。
講堂では、掃除はもうあらかた終わって、机や椅子《いす》の整頓《せいとん》にとりかかるところだった。そこは、第一室と第二室の共同の受け持ちだったらしく、田川大作や青山敬太郎などの顔も見えていた。田川は、例のしゃがれた、激《はげ》しい号令|口調《くちょう》で、ほかの塾生たちをせきたてながら、自分でも椅子や机を運んで敏捷《びんしょう》にたちはたらいていた。これに反して、青山の態度はきわめて冷静だった。かれは、田川の声には無頓着《むとんちゃく》なように、並《なら》べられていく机の列をじっとにらんでは、そのみだれを正していた。――二人とも、それぞれに室長に選ばれていたのである。
次郎が入り口に立って様子をながめていると、
「もうここはだいたいすんだようですよ。」
と、みんなにきこえるような声で言いながら、教壇《きょうだん》をおりてかれのほうに近づいて来た塾生があった。飯島である。次郎は思わず苦笑した。何かむかむかするものが、胸の底からこみあげて来るような気持ちだった。しかし、かれはしいて自分をおちつけ、
「そうですね。」
と、なま返事をして眼をそら
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