。しかし、部分的なことで、こんなことをぜひやってみたいというような希望なら、何か一つや二つはまとまりそうなものだね。」
「それがなかなかそうはいかないんです。」
と、飯島は、もうすっかりなれなれしい調子になり、
「何しろ、責任をもって話をまとめる中心がないんでしょう。ですから、ただめいめいにわいわいしゃべるだけなんです。中には、手紙を書いたり、雑誌をよんだりして、話に加わらないものもありますし……」
「なるほどね。」
と、朝倉先生は、飯島の言うことを肯定《こうてい》するというよりは、むしろさえぎるように言って、眼《め》をそらした。そしてちょっと思案したあと、
「ほかの室はどうだね」
返事がない。塾生たちの大多数は、ただにやにや笑っているだけである。次郎は、第一室の一団に眼をやったが、気のせいか、どの顔も変に緊張《きんちょう》しているように思えた。
「どの室も、やはり同じかな。」
と、朝倉先生は微笑《びしょう》しながら、
「すると、わずか六人の共同生活でも、だれか中心になる人がいないと、うまく行かないという結論になるわけだね。」
みんなの中には、それを自分たちに対する非難の言葉
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