何かと風当たりが強くなるかもしれませんよ。そのうち、憲兵なんていう、招かれざるお客もたずねて来るでしょう。ご迷惑《めいわく》ですね。」
と、冗談めかしていい、朝倉先生と二人で、声をたてて笑ったそうである。
五 最初の懇談会《こんだんかい》
「何だか、だらしがないね。やっぱり自由主義的だよ。」
次郎が、夕食後、小用をたしたかえりに第一室の前を通りかかると、中から、すこししゃがれた声で、そんな言葉がきこえて来た。かれは思わず立ちどまって耳をすました。
「探検だなんていうから、よほどめずらしい設備でもあるのかと思うと、何もありゃあしないじゃないか。このぐらいの設備なら、どこの青年道場にだってあるよ。」
同じ声である。次郎は自分の印象に残っている室員の顔の中から、声の主をさがしてみたが、まるで見当がつかなかった。
「そりゃあ、そうだね。」
と、ちがった声が相づちをうった。それはしかし、大して気乗りのした相づちだとは思えなかった。すると、また、しゃがれた声が、
「探検だの、室ごとの相談だの、まったく時間の浪費《ろうひ》だよ。塾生活《じゅくせいかつ》の設計だなんていったって、は
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