きっと結ばれている。中佐のかん高い声と、佩剣《はいけん》の伴奏とが、電気のようにかれらの神経をつたい、かれらの心臓にひびき、かれらの全身をゆすぶっているかのようである。
 次郎の興奮は、もう一度その勢いをもりかえした。しかもその勢いは、かれが中佐の声と佩剣の伴奏とから直接|刺激《しげき》をうける場合のそれよりも、はるかに強力だった。で、もしもかれが、塾生たちの顔の間に、ただ一つの例外的な表情をしている顔を見いだすことができなかったとすれば、かれはその興奮のために、すくなくとも、自分のすぐ前に腰をおろしている田沼先生と朝倉先生夫妻の注意をひくほどの舌打ちぐらいは、あるいはやったかもしれなかったのである。
 ただ一つの例外の顔というのは、大河無門の顔であった。かれは半眼《はんがん》に眼を開いていた。それは内と外とを同時に見ているような眼であった。中佐の言葉の調子がどんなに激越《げきえつ》になろうと、佩剣の鞘《さや》がどんな騒音《そうおん》をたてようと、そのまぶたは、ぴくりとも動かなかった。かれは、椅子《いす》にこそ腰をおろしていたが、その姿勢は、あたかも禅堂《ぜんどう》に足を組み、感覚の世
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