横の関係の生長が、おのずからみごとな上下の関係を生み出すところまで進みたいと思っている。」
といったような意味のことから話しだし、いつもなら、午後の懇談会《こんだんかい》で話すようなことまで、じっくりと、かんでふくめるように話をすすめていったのであった。
次郎は、きいていてうれしかった。田沼先生も、朝倉先生も、ちゃんと打つべき手は打っていられる。これでは、中佐も打ち込む隙《すき》が見つからないだろう。そんなふうにかれは思ったのである。
朝倉先生が壇《だん》をおりると、つぎは来賓の祝辞だった。次郎はさすがに胸がどきついた。かれは、昔《むかし》の武士が一騎打《いっきう》ちの敵にでも呼びかけるような気持ちになり、一度息をのんでから、さけぶようにいった。
「来賓祝辞――陸軍省の平木中佐|殿《どの》。」
平木中佐は声に応じてすっくと立ちあがった。そしてまずうしろの荒田老の方に向きなおって敬礼した。
荒田老は、しかし、眼がよく見えないせいか、黒眼鏡の方向を一点に釘《くぎ》づけにしたまま、びくとも動かなかった。一瞬《いっしゅん》、場内の空気が、くすぐられたようにゆらめいた。といっても、だれ
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