家が、北山の水を町にひくために開鑿《かいさく》した水路だそうだが、いつも探さ一二尺ほどの清冽《せいれつ》な水が、かなりな速度で、白砂の上を走っている。その水は町に流れ入る直前に直角にまがって一丁ほど東に流れ、もう一度直角に南にまがって、町はずれの橋の下をくぐっているのであるが、その角のあたりには、背丈《せたけ》ぐらいの渕が出来ており、夏になると、このへんの子供たちは、よくそこで水をあびる。土手をとおって通学している中学生の中にも、学校のかえり途には、子供たちにまじって水をあびて行くものが少くはない。次郎もおりおりその仲間に加わる一人だが、きょうは、とくべつ暑かったにもかかわらず、そこを見むきもしないで通りぬけてしまった。それから五六分も行くと、一心橋という橋がかかっており、道をへだてて、駄菓子やところてんなどを売る小さな茶店がある。次郎は、その半丁ほど手まえに来たとき、今までうつむきがちになっていた顔をあげて、ふと向こうを見た。すると、橋のたもとの大きな松の木かげに、帽子をわしづかみにして向こうむきに立っている一人の中学生が眼にとまった。馬田である。制服のボタンをすっかりはずして胸をは
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