だけているらしく、襟が首の両がわにはね出し、腰にあてた左手のうしろに裾がたくれあがっている。
次郎は思わず立ちどまった。馬田と言葉をかわすのが、きょうはとくべついやな気がするのだった。しかし、彼はかくれる気にはなれなかった。かくれたりするのは、相手が馬田であるだけに、よけい卑屈なように思えたのである。
彼は立ちどまったまま、しばらくじっと馬田のうしろ姿を見つめていた。すると馬田は、わしづかみにしていた帽子をふりあげて、つづけざまに二三度、つよく自分の股をなぐりつけた。それは、彼が何かやりそこないをしたり、しゃくにさわったりする時に、よくやるくせなのである。
次郎は、ふしぎにも思い、いくらか滑稽にも感じながら、歩き出そうとした。が、そのとき馬田のほかにもう一人、彼の眼にうつった人影があった。それは、土手のずっと向こうの方を小走りに走って行く女学生の姿であった。その制服姿は、もううしろから見たのではちょっと誰だか判断がつきかねるほど遠ざかっていたが、次郎にはそれが道江だということが一目でわかった。
次郎のふみ出した足はひとりでにもとにもどった。彼は棒立ちになったまま、道江から馬田へ
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