彼は判断したのだった。そして、この判断はいよいよ彼を上機嫌にした。血書が大きな問題になればなるほど、次郎はしょげるにちがいない。血書にけちをつけるのも面白いが、それを出来るだけ大げさな問題にして、次郎がいよいよしょげるのを見るのはなお一層面白いことだ。ストライキはどうせ早かれおそかれ放っておいても始まることだし、何も自分が先に立ってあせることはない。彼は、そんなふうに考えて、ひとりでほくそ笑んだ。そして、きょうは、彼にしてはめずらしく早く登校して、それとなく次郎の様子に注意していたが、次郎の様子は、彼の判断を十分に裏書しているように思えたので、彼は内心ますます得意になっていたのである。
 しかし、彼は、血書が次郎によって書かれたということを誰にも発表する気にまだなれなかった。それは、彼の自尊心や競争意識が何ということなしにそれを許さない、というだけではなかった。彼にとって大事なことは、ストライキの場合のことだったが、万一にも、それを発表したために、次郎が捨鉢《すてばち》になり、進んでストライキの主導権をにぎるような結果になってしまっては、つまらない。次郎は徹底的にやっつけなければならな
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