おしながら鶏舎の方に行くのを見おくっていたが、急に自分も立ち上っておも屋の方に行き、二階にかけあがるとぐったりと畳の上に寝ころんで、大きなため息をついた。
四 いろいろの眼
血書は約束どおり、あくる日、始業前に花山校長に提出された。平尾も、田上の勧告で、署名血判には案外すなおに同意した。しかし、みんなを代表して校長室に顔を出すことについては、彼は最初のうちなかなかうんとは言わなかった。田上が、君は総務としてただ顔を出してさえくれればいい、校長との応酬は一切自分がひきうけるから、と、なるだけ彼の責任をかろくするようなことを言ったので、やっとのこと彼も承知したのであった。
校長室における会見の様子は、あとで四人が――と言っても平尾はあまりしゃべらなかったが――みんなに話したところによると、かなり悲哀感をそそるものだったらしい。元来花山校長の鼻は、馬田が次郎のうちで言ったように、実際いかにもちょっぴりしている。恰好だけは、美人の鼻といってもいいほどととのっているのだが、顔の面積に比較して、それがあまりにも小さすぎるのである。血色のわるい、それでいていやにつるつる光っているだだ
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