遠慮なく出してくれ。」
「それも、もうきまっているよ。」
 いかにも冷やかすような調子でそう言ったのは馬田だった。彼は窓わくに馬乗りにまたがって、足をぶらぶらさせながら、そのしまりのない唇から舌を出したり、ひっこめたりしている。
「どうきまっているんだ。」
 と、田上が不愉快そうに彼の方を見た。
「ストライキさ。」
 馬田は田上の方を見むきもしないで答えたが、そのあと、すぐまた舌をぺろりと出した。
「いきなりストライキをやろうというのか。」
「いきなりでなくてもいいよ。しかし、どうせやるなら早い方がいいね。」
 吹き出すような笑いごえが二三ヵ所でおこった。しかし、多数は、馬田のあまりにもふざけきった調子に憤慨したらしく、むっつりしている。
 ストライキ問題は、しかし、そのあと、自然みんなの論議の中心になってしまった。意見はだいたい三つにわかれた。ストライキ即時断行論がその一つで、これは馬田を中心とする不良らしい五六名が、理論も何もなく、まるでおどかすような調子で主張した。第二はストライキ絶対反対論で、主として論陣《ろんじん》を張ったのは梅本だった。第三は、いわは中間派で、情理をつくして
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