も新賀も、むしろ驚いたように次郎の顔を見つめていた。すると、次郎は、また淋しく微笑して、
「とにかく僕ひとりが犠牲《ぎせい》になれば、何もかもそれで片づくんだ。そう思うと、女の問題だろうと何だろうと構《かま》わんという気もするね。ただ僕が心配しているのは、送別会のことで君ら二人に迷惑がかかりはしないかということだ。あれは僕があくまでも全責任を負うよ。実際責任は僕にあるんだからね。そのつもりで、学校が何と言おうと、君らは頑張ってくれたまえ。」
 二人はそれに対しては何とも答えなかった。梅本は、すぐ、くってかかるように言った。
「君ひとりが犠牲になったからって、何も片づきはせんよ。僕は、もし学校に残ることが出来れば、さっそく馬田の征伐をはじめたいと思っているんだ。」
 すると新賀が、
「そうだ。そしてそのつぎは西山と曾根だ。僕はそのためになら、僕の海軍志望を棒にふってもいい。」
 次郎は一瞬、躍《おど》りあがりたいほどの興奮を覚えた。しかし、つぎの瞬間には、彼はその興奮をおさえようとして、心の底でもがいていた。彼はしばらくして言った。
「そんなこと、ばかばかしいよ。こんなちっぽけな中学校の
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