と、道江がすぐそのあとから、泣くような声で、
「次郎さん、だめね。あたし、きょう、朝倉先生がおたちになったってききましたから、次郎さんはどうしていらっしゃるのかと思って、おたずねしてみたのよ。すると恭一さんから、さっきの大沢さんのお話のようなことをきかしていただいたんでしょう。あたし、それだけでも、もう心配で心配でたまらなかったんですのに。……配属将校って、普通の先生よりよっぽどきびしいっていうんじゃありません?」
次郎は、道江のそんな言草に真実性がないとは思わなかった。しかし、恭一と組みになって自分に話しかけて来るような彼女の態度が、彼の気持をかきみだした。また、彼女が駅での出来事を恭一にきいたと言ったのも、変に彼の耳を刺戟した。
彼は道江の顔をちょっとのぞいたきり、すぐ恭一に向かって抗議するように言った。
「配属将校だから、僕、よけい默って居れなかったんだよ。」
「しかし、今の場合、少し無茶だったね。」
「そうよ、次郎さんはいつも気みじかすぎるわよ。」
また道江が口をはさんだ。次郎は何かかっとするものを胸の中に感じながら、むっつりしていた。すると、大沢が微笑しながら言った。
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