うに言った。
「きょうは、さすがの先生も、よほど不愉快だったと見えて、最後まで気味のわるい眼付をしていられたよ。僕は、あんな眼付が先生にも出来るのかと思って、不思議な気がしたくらいだ。」
次郎は、最後に見た朝倉先生の険しい眼を、もう一度はっきりと思いうかべた。そして、それが自分を非難する眼であるよりも、むしろ自分のことを心から心配してくれている眼だったということを知って、おどろきもし、うれしくも思う一方、強い愛情のしめ木にかけられる苦しさを覚えた。
次郎の複雑な表情を注意ぶかく見つめていた恭一が言った。
「曾根少佐のうちではどうだったい?」
次郎は、しばらく顔をふせて、考えこんでいるふうだったが、少し言いにくそうに、
「僕、とうとうけんかしちゃったんだ。」
「けんか?」
「まあ!」
恭一と道江とが同時に叫んだ。次郎には、しかし、二人のおどろきが、なぜかうつろなものにきこえた。彼は、なぜということもなく、俊三の方に視線を転じたが、俊三は、むしろ好奇的な眼をして彼のつぎの言葉を待っているかのようだった。
「配属将校を相手にけんかなんかしたんじゃ、いよいようるさいね。」
恭一が言う
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