「けんかって、まさか、なぐりあいをやったわけではないだろう。」
「むろん、そんなばかなことはしませんよ。」
「じゃあ馬鹿野郎とか何とか君の方で言ったんか。」
「そんな……そんな無茶なこと、僕だって言やしません。」
「じゃあ、どんなけんかだい。」
「議論をしただけです。」
「議論するのはけんかじゃないよ。しかし、どんな議論をしたんだい。」
「曾根少佐は卑劣ですよ。僕をたべ物で釣ろうとしたんです。だから、僕、よけいしゃくにさわって、思いきって言いたいことを言ってやったんです。」
そう言って彼は、かなり興奮した調子で、ゆうべの会合のことをきかれたことから、最後に朝倉先生のことで思いきった激論をやったことを、出来るだけくわしく話した。しかし、話してしまうと、急に力がぬけたように、仰向けにごろりとねころんだ。そして、屋根うらの一点にじっと眼をすえながら、ひとりごとのように言った。
「僕、もう、学校なんかどうだっていいや。」
恭一は深いため息をつき、道江はそっと涙をふいた。俊三は、次郎が興奮して話しているうちは、いかにも痛快だといった顔をしてきいていたが、最後には、やはり心配そうにみんなの顔を
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