「ええ、呼ばれました。……知っていたんですか。」
「僕たち、朝倉先生を見送ってから、日進堂で立ち読みをしていたんだよ。」
 日進堂というのは、駅前通りから曾根少佐の家の方にまがる角の本屋なのである。
「ふうん。」
 次郎は、学校に引きかえさないで自分から曾根少佐の自宅を選んだことが、今さらのように腹立たしかった。
「どんな話だった?」
「ゆうべのことです。」
「やっぱりそうだったんか。」
 四人は顔見合わせて、まただまりこんだ。次郎はすこし興奮しながら、
「僕、何もかもすっかり言っちゃったんです。いいでしょう。」
「言ったっていいさ。何も悪いことしたわけじゃないんだから。しかし、朝倉先生には気の毒だったよ。」
「先生がどうかされたんですか。」
「先生も、ゆうべのことで、憲兵の取調べをお受けになったんだよ。」
「いつ?」
「きょう、駅でさ。」
「駅で?」
 次郎は顔が青ざめるほどおどろいた。
 大沢が恭一に補足してもらいながら説明したところによると、こうだった。
 二人は俊亮といっしょに少し早目に駅に行って、見送りの名刺受付の用意をしていた。するとオートバイで乗りつけて来た三十歳あまりの
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