を言っているんです。先生こそつつしんで下さい。」
「默れ! 失敬な。」
「僕は道理に服従します。おどかされても默りません。」
二人はいつの間にか立ちあがっていた。
「君は、いったい、秩序ということをわきまえているのか。」
「わきまえています。」
「わきまえていて、よくもそんな無礼なことが言えたな。」
「道理に従うのが秩序です。無法な権力に屈しては秩序は守れません。」
「何だと? すると君は、わしが無法な権力をふるっているとでも思っているのか。」
「思っています。朝倉先生は正しかったんです。権力の迫害にあわれたんです。それは間違いのないことです。それを間違いだといっておさえつけるのは無法です。無法な権力です。」
次郎は真青な顔をして、頬をふるわせていた。少佐の顔も青かった。彼は歯を食いしばって次郎をにらんでいたが、ふうっと一つ大きな息を吐き出すと、言った。
「それほど強情を張るんでは、もう仕方がない。せっかく君のために計ってやるつもりだったが、わしもこれで手をひく。もう用はないから帰れ。」
次郎はきちんとお辞儀をして部屋を出た。少佐は部屋につったったまま、そのうしろ姿を見おくった。
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