なりそうだって仰しゃるんですか。」
「そうだよ、もうすでに迷信家になっているんだよ。」
「どうしてです。」
「朝倉先生の言われたことだと、君は無条件に信じているんだろう。」
 今度は多少の手ごたえがあったらしかった。次郎はじっと考えた。しかし、間もなく彼はきっぱりと答えた。
「信ずる価値のあるものを信ずるのは、迷信ではありません。」
 少佐は二の矢がつげなかった。しかしぐずぐずしているわけにはいかない。
「価値のあるなしは、どうして決めるんだ。」
「自分で決めます。」
「すると朝倉先生が言われたから何もかも信ずる、というわけではないんだね。」
「むろんです。自分で正しいと思うから信ずるんです。しかし、朝倉先生の言われたことで、これまで一度だって、まちがっていたと思った事はありません。」
「それが迷信だよ。現にまちがっていたればこそ、この学校を去られることにもなったんではないかね。」
「ちがいます。先生は権力《けんりょく》の迫害にあわれたんです。」
「何? 権力の迫害?」
「そうです。迫害です。そしてその権力こそ迷信のかたまりです。」
「本田! 言葉をつつしめ!」
「僕はあたりまえのこと
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