「ある。」
「じゃあ、届けます。」
二人の問答はもう何だか喧嘩腰だった。
「ついでに、もう一つたずねるが、――」
と、少佐は次郎の顔をにらみすえながら、
「白鳥会は今後もつづけてやるつもりなのか。」
「やるつもりです。」
「朝倉先生がいられなくても?」
「ええ、やります。朝倉先生もつづけてやるのを希望していられるんです。」
「すると、これからはどこで集まるんだ。」
「僕のうちで集まります。」
「君のうちで? しかし、先生は?」
「先生はなくてもいいんです。」
「生徒だけで集まろうというんだね。」
「そうです。」
「そんなこと、君のお父さんに相談したのか。」
「しました。」
「許されたんだね。」
「ええ、許しました。」
「ふうむ、――」
と、少佐はしばらく眼を伏せていたが、
「いったい、どうして君のうちで集まることになったんだ。」
「みんなで決めたんです。」
「しかし誰かそれを言い出したものがあるだろう。」
「言い出したのは朝倉先生です。」
「朝倉先生が? それはゆうべのことか。それとも……」
「ゆうべです。」
「すると、その時、君のお父さんも、その場にいられたんだね。」
「居りま
前へ
次へ
全368ページ中308ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
下村 湖人 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング