先生の言われることなら信じます。」
「しかし――」
と、少佐は何か意見を言おうとしたが、思いかえしたように、
「まあいい。まあ、それはそれでいいとして、ほかに何か言われたことはないかね。」
「要点はそれだけだったんです。」
「満州事変については何も言われなかったんだね。」
次郎はまたちょっと考えた。しかし、やはり思いきったように、
「言われました。ああいう事件は、どうかすると、国民に麻酔薬をのまして、反省力をなくさせる危険がある、といったような意味だったと思います。」
「そんなことを言われたのか。」
「僕、はっきり言葉は覚えていないんです。」
「しかし、大たいそんな意味だったんだね。」
「そうだと思います。」
「それについて君はどう思う? やはりその通りだと思うかね。」
「思います。」
「それも朝倉先生が言われたから信じるというんだな。」
「そうです。」
「ふうむ。……それで、ゆうべ集まったのは幾人ぐらいだった?」
「三十人ぐらいです。」
「名まえもむろんわかっているだろうね。」
「わかっています。」
「あとでわしまでその名前を届けてくれないかね。」
「そんな必要がありますか。」
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