彼はじっと腹の虫をおさえた。そして、強いて微笑しながらたずねた。
「どうだい、わしの気持はわかるかね。」
「わかります。それで、どんなことですか、先生が僕にききたいと仰しゃるのは。」
 次郎はもう面倒くさそうだった。
「いや、大したことでもないさ。どうせ大たいわかっていることでもあるし、――」
 と、少佐はわざとのようにそっぽを向いて言ったが、
「つまり、大事なのは君らの思想なんだ。それで、朝倉先生が最後にどんなことを君らに言われたか、それがききたいんだ。それをきいたうえで、なお君に話すことがあるかも知れんがね。」
 次郎はちょっと考えた。が、思いきったように、
「これからは、良心の自由が守れないような悪い時代が来るから、しっかりするようにって言われたと思います。」
「良心の自由が守れない?」
「ええ、つまり時代に圧迫されたり、だまされたりして、誰もが自分の良心どおりに動けなくなるっていう意味だったと思います。」
「ふむ。それで君はどう思う。」
「ほんとうだと思います。朝倉先生は、うそは言われないんです。」
「先生が言われたから、そのまま信じるというんだね。」
「そうです。僕はりっぱな
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