、その部屋にまだなれないせいもあって、よけいに落ちつかない気持だった。
 彼は一わたり室内を見まわした。セットや装飾品のよしあしは彼には皆目《かいもく》見当がつかなかったが、それでも何かまぶしいような感じをうけた。そして、これまで訪ねた中学校の先生たちの貧乏ったらしい家の様子にくらべて、何というちがいだろう、学校の先生と軍人とでは、こんけにも生活にひらきがあるのだろうか、と思った。
「君、上衣をぬげよ。あついだろう。」
 少佐が言った。
「僕、シャツを着てないんです。」
「かまわん。はだかになるさ。どうせきょうはすっぱだかで話してもらいたいんだからね。ははは。」
 次郎は眼を光らせて少佐を見たきり、固くなっていた。
 そこへ、はでな浴衣を着た、三十五六の肥った女の人が、盆にサイダー瓶とコップとをのせてはいって来た。
「いらっしゃい。……はじめての方ですわね。」
 盆をテーブルの上にのせながら、そう言って、彼女は次郎と少佐とを見くらべた。
「うむ、はじめてだ。本田っていうんだ。五年の錚々《そうそう》たる人物だよ。」
「あら、そう。よくいらっしゃいましたわね。」
 次郎は二人になぶられてい
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