。笑わなかったのは恭一と次郎だけであったが、二人とも、もう顔はふせていなかった。
 拍手がやむと、大沢があらためて俊亮に何か話すように求めた。
 俊亮は一たんかぶりをふったが、すぐ、何か思いあたったように、大きくうなずいた。そして、大沢がまだ十分尻をおちつけないうちに、言い出した。
「私の商売は養鶏です。これからは君らの小父さんにもなるわけだが、それは私の商売ではない。だから、君らのお世話をやくよりか、自然鶏の世話をやく方が多かろうと思う。むろん、朝倉先生のように朝から晩まで君らのことばかり考えているというわけにはいかない。かりに考えても、ろくなことは考えないだろうと思う。だから考えないことにする。鶏のことは一所懸命に考えるが、君らのことはあまり考えないことにする。こう言うと、人間よりも鶏を大事にするようだが、そうでない。自分の商売でもないことを、あまり立ち入って考えたら、かえって君らの人間を駄目にするだろうと思うから、考えないつもりである。つまり、君らの人間を大事に思うから考えない。そう思っていただきたい。もっとも、君らの方から何か相談ごとがあったら、それは君らの小父さんとしていくら
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