のがあった。それは梅本だった。すると、新賀と大沢とがほとんど同時に拍手した。拍手はそのまま上級生から下級生の方につたわって、しばらく鳴りやまなかった。恭一と次郎とは相変らず顔をふせたまま、ちぢこまるようにしており、俊三だけが、あきれたような、しかし、どこかふざけたような眼付をして、まともに俊亮の方を見ていた。
 俊亮も、さすがに、もう泰然とはしていなかった。彼は、自分の方を見て微笑している朝倉先生の顔にちょっと眼をやったが、すぐその眼でみんなの顔を一わたり見まわした。その眼は怒っているようでもあり、笑っているようでもあり、無表情なようでもある妙な眼付だった。それから浴衣の左の袖をまくって、そのまるっこい二の腕を右の手のひらで二三度なでたあと、ぶっきらぼうに言った。
「よろしい。ひきうけましょう。しかし、ひきうけるについては一つの条件があります。それは、私は先生ではないのだから、諸君に先生と呼ばれては困るのです。私の希望では、小父さんと呼んでもらいたいのだが、それが承知ならひきうけましょう。」
 一せいに拍手が起った。どの顔も笑顔である。朝倉先生夫妻もしんから嬉しそうに俊亮の顔をのぞいた
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